Diary

日々の出来事、考えたことをつらつらと。。。

斜陽

戦後の貴族の”美しき”没落を描いた太宰治の作品。

 

高貴さを失うことなく最後まで美しく、気高くそしてはかなく散った母

”ひとは、みなおなじ”に苛まれ、身に沁みついている高貴さと周囲と打ち解ける為の”下品” さを得るために自分を殺し、誤魔化し続けた直治

母へのまっすぐな愛と直治への嫉妬、そのなかの思慮深さ、そして革命を見つけたかずこ。

彼女の革命はきっと”高貴さ”からの脱却という意味を持っている

直治にも母にもみられた「貴族、高貴さ」を誇り、最後まで気高くあり続ける彼らとは異なる道、汚らわしい、厭らしい、下品だとしても自らの心に灯る正真正銘の恋心、そして新しい命と力強さが感じられた。きっと彼女は直治が出来なかった高貴さと下品さの葛藤を乗り越えたのだ。母、直治の死、失恋、という尊い犠牲、心に芽吹いた革命。

何もなかった彼女が得た強さ。

 

文章がとても綺麗だった。長いなと思いながら読んでいた部分が遠い昔のように感じる、重厚感のある、それでいて本をめくる音がパラパラと聞こえる、自然と引き込まれていた。小説には詳しくないけど、現代でも愛される作家の力の一端を感じた。

人間失格も楽しみだ。小説、たくさん読みます。